「骨はききたかった」@ 竹内浩三陸軍兵長(23歳)の叫び
公開 2025/08/20 00:00
最終更新
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岡部伊都子の随筆集『賀茂川のほとりで』を読んでいて、『松阪市戦没兵士の手紙集』について書かれていた。「おお~ この本 たしかあったぞ」と思い出し、部屋の本棚の隅から「発掘」しました。
↓これです

これ 松阪市が編集した、同市出身者の戦没者の手紙集で、『ふるさとの風や』とのタイトルです。ただし僕が持っているのは、1995年発行の復刻版ですが。
冒頭、竹内浩三さん(1945年4月2日 比島で戦死)の「骨のうたう」という詩が掲載されています。本に載ってるのは、友人が手を入れたもののようで、ネット上では オリジナルの詩を見ることができます。
骨のうたう
戦死やあはれ
兵隊の死ぬるやあはれ
とほい他国で ひょんと死ぬるや
だまって だれもいないところで
ひょんと死ぬるや
ふるさとの風や
こいびとの眼や
ひょんと消ゆるや
国のため
大君のため
死んでしまうや
その心や
苔いぢらしや あはれや兵隊の死ぬるや
こらへきれないさびしさや
なかず 咆えず ひたすら 銃を持つ
白い箱にて 故国をながめる
音もなく なにもない 骨
帰っては きましたけれど
故国の人のよそよそしさや
自分の事務や女のみだしなみが大切で
骨を愛する人もなし
骨は骨として 勲章をもらひ
高く崇められ ほまれは高し
なれど 骨は骨 骨はききたかった
絶大な愛情のひびきをききたかった
それはなかった
がらがらどんどん事務と常識が流れていた
骨は骨として崇められた
骨は チンチン音を立てて粉になった
ああ 戦死やあはれ
故国の風は 骨を吹きとばした
故国は発展にいそがしかった
女は 化粧にいそがしかった
なんにもないところで
骨は なんにもなしになった
・・・・・・・・・・
これを読むと、戦争体験者が戦後に書いた詩のように錯覚するかもしれませんが、戦後に書かれたものではありません。書いた本人が、1945年4月に戦死してるんです。まるで、自分が戦死した後の 故国日本の行く末を預言しているような詩ですね。身震いがしてきます。
戦死した男の骨は 聞きたかったんだね。
その願いに答え得ているだろうか。僕らは。
この故国は その名に値しているのだろうか
今、改めて思い起こしたいです。
(この記事は、旧gooブログの2013/5/3付け』記事を、一部修正の上、再録したものです)
高校卒業後、進学のためはるばる金沢に来てほぼ半世紀。古里は遠きにありますが、この金沢で人生を閉じることになるでしょう。その選択に一片の悔いなしです。
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