美しき昭和の残影 @ 今庄宿『忠兵衛そば』
公開 2025/08/16 07:35
最終更新 2025/08/16 07:35



 古くからの宿場町である福井県今庄。この町に降り立ったのは 今回が初めてです。取り立てて観光地というわけではなく、当然ながらJRの普通電車から降りた人は 僕をいれて2名でした。駅を背に右の細い道を進むと、1分ほどで「忠兵衛駐車場」に出くわします。「忠兵衛は→三軒隣り」と親切に表示されており、そのまま歩くこと10秒で店に到着しました。


 玄関前の大きな石灯篭が目印です。でも左側には「Wi-Fi使えます」の今風なステッカーもあります。一歩中に入るや否や、懐かしい昭和の民家の光景が広がります。左手がカウンターとその奥が厨房らしい。右手が噂の囲炉裏の座敷の様ですが、今日は使用していない模様。奥の右手が小上がりで4人掛け座卓が二つ。更にその奥も座敷があるのかな。


 しかしこの雰囲気、僕が小学生のとき毎日のように通っていた「駄菓子屋」を思い出すなあ。子供のかわりに今は呑兵衛のおじさんと言う感じ。事実先客は、作業着姿の3人のおじさんがビール飲んでました。まさに「大人の駄菓子屋」ってところ。日曜の昼なので早くいかなくっちゃ座れなくなるかも・・と思って急ぎ足で来ましたが、全くその心配はありませんでしたあ

 
 店のスタッフは接客担当の若い女性が一人でしたが、この人が、しっとりとしたすごい美人。こういう小さな宿場町の昔ながらの蕎麦屋には 京塚昌子(俺も古いねぇ!)みたいな肝っ玉母さんがいるのかと勝手に想像してましたが、まったく正反対の、モデルさんみたいな超美形です。奥には調理担当のもうおひと方(この方も女性かな)がおられるみたいです。


 小上がりに座り、メニューを眺めてると。その店員さんが「お飲み物はお茶でよろしいでしょうか」と問うてきました。「いえ、キリンビールお願いします」と答え、メニューを見続ける僕。そうすると店員さんが「お料理メニューはこちらにもあります。メニュー右側は予約が必要ですが、左側の季節料理はすぐお出しできます」とカウンター上の壁の張り紙を教えてくださいました。


 メニューのトップに「いそふぐ刺身」とある。うう?? いそふぐ?磯にいるふぐ? そりゃ「しょうさいふぐの事かい?」などといつものマニアッ気がでかかるが、なんとか自制しました。今度、予約して来ようっと。「ふきの炊き合わせ」かあ、渋い酒肴が並んでるねえ。


 おっ「タコとミョウガの酢の物」があるぞ、これにしよっ。待つことしばし出てきたのは「タコとミョウガと刻み昆布」を和えた、見るも涼しげなガラスの鉢です。いやあ これ、もう少しで夏日という今日は、とりわけビールにあうねえ・・。この店、大正解ですねえ。


 ビールが最後の一杯になりかけたので、「すいません おろしそば2枚願いします」。笊や蒸籠に盛られるそばではなく、福井のおろし蕎麦は小皿に大根おろしとかつお節と刻み葱が最初からのっかかって出てきます。この店の蕎麦は「量が少ない」とネットの評判ですが、実際に食ってみたら、ひと皿5口半で食べ終わりました。


 確かに少量ではありますが、ネットで目くじら立てるほどではありません。ビールのせいもありますが2枚食べたらもう十分お腹が膨れます。味はもちろん美味しい!!です。東京の蕎麦は、食事というより、もはや「趣味食」というか「嗜好品」ですが、ご当地越前の蕎麦は「主食」ですね。昔から、“ここではこれを食べて生きてきた!”という「野性味」といか「いのち」すら感じます。


 〆は蕎麦湯ですね。お茶の急須で出てきました。普通の盛り蕎麦と違って、皿にはそんな多くのそばつゆは残っていないので、メニューのご指南に従って、テーブルにある塩を足して飲むとぐんと味が引き締まって最後の一滴までおいしく頂きました。


 作業服のおじさんたちが出た後、僕が出るまで客は来ず。静かな田舎の懐かしい日曜の午後を過ごすことができました。今庄という町自体が 山に囲まれた盆地で、とてもおちついた安心した雰囲気が町にあふれています。角を曲がると50年前のいがぐり頭の小学生だった自分が走り回っている姿に出合えるような気がする・・・。そんな町でした。


 今日のお代は ビール大瓶650円、タコの酢の物450円 おろしそば×2皿1200円で、〆て2300円でした。ごちそうさまでした。また来ますね。

(この記事は、旧gooブログの2015/6/30付記事の再録です)
高校卒業後、進学のためはるばる金沢に来てほぼ半世紀。古里は遠きにありますが、この金沢で人生を閉じることになるでしょう。その選択に一片の悔いなしです。
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